米財務省、イラン関与の暗号資産取引所を制裁 デジタル資産で初
米財務省は30日(米国時間)、イランの金融システムに関与したとして、英国に拠点を置く暗号資産(仮想通貨)取引所2社を制裁対象に指定したと発表した。米政府がイラン制裁の一環として、デジタル資産プラットフォームを直接の標的にするのは今回が初めてとなる。
対象となったのは「Zedcex Exchange」と「Zedxion Exchange」の2社。財務省外国資産管理局(OFAC)によると、両社はイランの実業家ババク・モルテザ・ザンジャニ氏と密接な関係にあり、イスラム革命防衛隊(IRGC)に関連する組織の送金や資金洗浄を支援していた。なかでもZedcexは2022年8月の登録以来、940億ドル(約14兆5000億円)を超える取引を処理していたという。
今回の措置は、国内での弾圧に関与したイラン当局者らに対する広範な制裁の一環だ。エスカンダル・モメニ・カラガリ内務相らも対象に含まれる。スコット・ベセント財務長官は声明で「イランが制裁回避のためにデジタル資産を悪用する試みを、引き続き標的にする」と述べ、厳しい姿勢を鮮明にした。
背景には、イランが国際的な金融制限を逃れるために暗号資産を戦略的に利用している実態がある。ブロックチェーン分析企業エリプティックの最近の調査によると、イラン中央銀行は法定通貨リアルの暴落を食い止めるため、2025年中にステーブルコインのテザー(USDT)を5億ドル以上蓄積し、市場介入の資金として活用していた疑いがある。
財務省による取引所への直接制裁は、暗号資産のエコシステムに対する監視が新たな段階に入ったことを示している。米政府による「最大圧力」路線の継続により、今後はオフショア拠点の取引所やステーブルコインの利用に対する規制監視がさらに厳格化する見通しだ。